マラソン大会当日!

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とうとうマラソン大会当日。

最寄り駅で同期と、夜も明けきらない5時過ぎに待ち合わせをし、

電車を乗り継いで、会場の大磯ロングビーチまで向かった。


結局、前日練習もせず、他の靴下を買いにいくことも断念したので、もちろん、ジャージの下は、バッチリ「3段オチスタイル」でキメて来た。

足元に君臨する「チャンピオン」の存在がどうにも気になる・・・。

それでも同期と会った途端に、遠足気分が生まれ、電車の中で馬鹿話などをしているうちに、あの憂鬱でたまらなかったマラソン大会も、一種の爽やかなイベントとして捉えられるようになり、何だかワクワクしてきた。

やはり仲間がいるって素晴らしい。

そんな馬鹿話のどさくさにまぎれて私は、

「私さー今日チャンピオンの靴下履いてきちゃったんだよねー。」

と、後ほど披露して笑われるより、先に告白しておこうと思い、このジャージの下には大きく横に広がったチャンピオンのマークが身を潜めていることを、勇気を出して告げた。

そうしたところ、

「いいじゃん、チャンピオン。懐かしいねー。」

と、同期たちは少なくとも「チャンピオン」というメーカーの靴下を履いているという

事実に関しては、特段気に留める様子は見られなかった。

良かった。とりあえず一安心だ。

中途半端な丈の件はまだ伝えていなかったが、とりあえず「靴下がチャンピオン」の件はクリアーとなったことが、私を勇気づけた。

そうすると、私の「アキレス腱」だと思っていた「チャンピオン」も、マラソン中私を守ってくれる「守り神」のように思えてきて、「チャンピオン」の靴下に愛着の念が生まれ始めた。

昨日までは3足セットのお買い得感で私に選ばれてしまったが為に、何も悪くないのに、疎まれてしまう存在だったのが、ここに来て「チャンピオン」株は急上昇である。

「チャンピオン、どうか無事にゴールできますように、私と一緒に走ってください。」

そうお願いせずにはいられなかった。

最寄り駅に到着し、そこから会場まで30分くらい歩いた。

そして、早くも疲れてしまった。

色々運営側にも都合があるのだろうが、何分、このように一回もロクに練習せずに臨むような、それほどマラソンという競技に意気込みを持たない怠惰な参加者も実は存在することを考慮して頂けたら大変ありがたい。

マラソンを習慣として生活に取り入れている人々からしたら、ウォーミングアップにすらならないぐらいの歩行距離かもしれないが、私にとってのこの歩行は、既にスタートを切り、第一補給所に到達したぐらいの体力の消耗となった。

(しかしながら、後で調べたところによると、ちゃんと運営側は私のような参加者がいるのを見越してか、駅から会場までのシャトルバスを運行していたようだ。私は事前に「走らない」、事前に「調べない」まったくもって「だらしない」とまさに「ないないづくし」の人間であることを痛感させられた。

…なんてうまいこと言っている場合ではない。

次回参加する際には、何よりも先にこのシャトルバスに申し込もうと固く誓う。それ以前にちゃんと事前に練習しようと決意を固めるべきなのか。)

マラソン会場であり、私にとっては第一補給所にほぼ匹敵する場所にようやく到着した。海の見える高台にあり、とても見晴らしがよい。

そして老若男女、たくさんのランナーたちがおのおのウォーミングアップしたり、仲間たちと談笑したりしている。何とも言えぬ「高揚感」と「緊張感」に満ちており、これが順位を競い合う「大会」であるという当たり前の事実に今更ながら気付かされる。

私たちは早速女子更衣室と銘打たれたテントに入り、着替えをした。

・・・・・・・あれ?

おかしい。みんな大爆笑している。

「ちょっとーーその丈何ーー!?アハハハハ!!!」

皆の視線は私の足元…そう、靴下に集中している。

やっぱり…。

悩むべきは、「チャンピオンというメーカー」でもなく、「大きく横に広がったチャンピオンのマーク」でもなかったのだ。

「丈」。その一点だったようだ。

確かに周りを見渡すと、私のように「くるぶし」と「膝」の中間丈の靴下を履いている人なんて誰もいない。ハイソックスもさすがにいない。正解は、くるぶし丈だったようだ。

くるぶしの下部に沿って曲線を描き、スニーカーによって見えるか見えないかの丈の靴下…くるぶしソックス。

「田舎の女子中学生のようだ」

と鼻からその存在を軽んじていたこのソックスこそが、マラソンランナーたちの定番靴下だったとは。

しかしながら、この丈だと、「生脚全開!!」なのである。

普段まったく素足を人前でさらすことのない私に、このくるぶし丈がいかにマラソン競技における定番靴下と言われても、「じゃあ…」といって今更くるぶしまでさらけ出す勇気は到底ない。

「皆は一体恥ずかしくないのか。」

と周りを改めて見渡して、救世主を発見。

「スパッツ」である。

というか、今のマラソンを走る格好は大きく進化し、「ランナーズファッション」というトレンドが確立されているようである。

短いランニング用の「スカート」を履き、それに「スパッツ」と「くるぶしソックス」を合わせて、キャップを被り、少しだけタイトなTシャツを着る…。

とても可愛い。
そして洗練されている。

私のような「ハーフパンツ」ではなく、「ショートパンツ」に「くるぶしソックス」を合わせている人も多くいて、すごくしっくりきている。

私の「三段オチスタイル」のそれぞれのアイテムは、それらのトレンドにかすりもしていない事実を目の前に突きつけられ、本当にいたたまれない気分となった。

「ハーフパンツ」に「ふくらはぎ丈ソックス」を合わせ、出来うる限り素足を出したくないがための試行錯誤感が見え見えである。

一言でいえば「ダサイ」のだ。
出来ることなら今すぐ帰りたい。

いざ走り始めたら、格好なんて誰も気にしないだろうし、自分だって気にしている場合ではなくなるのはわかる。わかるのだが、
走る前、そして走り終わった直後から、この「いたたまれなさ」は常に私に付きまとうと考えると、もともと高くないテンションががた落ちしてしまった。

そうか…。「スパッツ」は、私の「素足を出したくない」という願望と、「トレンドのランナーズスタイル」への憧れををいっぺんに叶えてくれる本当に優秀な存在なのだ。

次回は、練習するよりも、シャトルバスに申し込むよりもまず先に、「スパッツを購入する」という決意を心に強く誓った。

しかしながら、恥ずかしがっていてもしょうがない。今さら「三段オチスタイル」を放棄することはできない。もう後戻りはできない。

私はこの格好で走る他ないのだ!!

開き直った私は、仲間たちと共にスタート地点へと向かって歩き出した。

次回に続く。

 

[ マラソン大会当日! ]ネクラなCA2016/09/30 17:14