コオリスクナメ。

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こんにちは。
Chacoです。

今日もスタバに来ている。
アイスカフェラテを飲もうと思ったのだけれど、氷を少なめにしてもらおうと思っていた。

どれほどの少なさかというと、小さなあの氷が2〜3個入っていれば十分だった。

しかしながら、だからといって、氷が一個もないのは嫌だったのだ。

いや。わかっている。女性に「冷え」は大敵で、真夏だろうがなんだろうが、氷云々どころか、むしろ身体を温めるホットの飲み物を飲んだほうがよろしいことは重々承知している。

しているのだけれど、夏に「冷たいミルク」と「エスプレッソショット」のまろやかな融合を、カップの表面に結露によって汗をかいているように見えるあのスケルトンカップで、手が濡れるのが少し嫌だなと思いながらもそれを手に取り、ストローによる気圧の差で重力に逆らって頰をすぼめて液体を吸い上げることにより、その甘美な喉越しを楽しみたいと思っているのだ。夏限定の。

したがって、カーディガン等を羽織り、表面的には身体を冷やさないよう留意しつつも、わたしは夏に冷たい飲み物を楽しまずにはいられない。

しかしながら、ある程度の「冷え」は飲み終わるまで持続してほしいとは思うのだが、氷をザックザク入れたキンキンの冷えを望んでいるわけではない。

微妙かつ繊細な「冷え」をわたしは希望しているのだ。

というわけで、単純に「氷少なめでお願いします。」だと、今までの経験上、通常の氷より2〜3割少なめの氷で、「は〜い、氷少なめで〜す〜ど〜ぞ〜」と、投げやりに片付けられてしまう恐れがあった。わたしの場合は、通常の2〜3割の量の氷で良いのだ。

なので、

「アイスのスターバックスラテ、トールサイズで、えっと、氷は結構少なくしてもらえますか。」

と日本語としては若干ぎこちない表現でもって伝えてみた。「氷少なめ=コオリスクナメ」という言わばひとかたまりの単語のような表現だと、わたしの繊細な思いは伝わらないのでは、と考えた。

「氷少なめ」で済むところを、あえて、「氷を少なくしてもらえますか」と、きちんとしたフレーズで伝えたところに、「も、もしかしたら、この客人は尋常ならぬこだわりを抱いているのでは・・・氷の加減に!!」と、女性店員に気が付いてほしかったのである。

そうしたところ、

「はい。氷少なめですね。」

と、あどけなく可愛らしい女性店員は返してきた。

・・・ちがう!
きっと、あなたの考えている「氷少なめ」のニュアンスは、きっとわたしの切望する氷の分量とはちがう!
わたしの切実な思いを「コオリスクナメ」などという単語で片付けないでくれたまえ!

だまりこくるわたし。
そんなわたしの心中で、ムンク並みの叫びが反響していることなんてまったく気が付いていない様子で、女性店員は相も変わらずあどけない可愛らしさで、一生懸命レジに打ち込んでいる。

わたしも昔はこんなあどけなくて可愛い時もあったのかなぁ・・・

と、その色白で小さい可愛らしい女性店員にぼーっと魅了されていたが、

・・・否!!

「だめだ。この店員の可愛さに屈して、わたしの氷への鮮烈な思いを諦めてはいけない!」

この店員の可愛らしさに惑わされまいと、小さく首を振るわたし。

意を決したわたしは、わたしから受け取ったお金を、あどけなくレジに入れようとしている女性店員に

「あの、本当に、氷は少なくていいんですが・・・へへっ」

と、伝えてみた。

同じことを2回も告げることのしつこさに抱く後ろめたさを、「へへっ」という照れ笑いによって打ち消したのだ。
これは、わたしが気まずい時によく使う常套手段である。真似してもらっても構わない。

そうしたところ、

「あ、はい。かしこまりました。」

と、件の女性店員は、わたしがそんじょそこらの「コオリスクナメ」では満足しないオンナであることをようやく察知したのか、バリスタのひとにごにょごにょ何か伝えに行った。

そう。それでよい。わたしは本当に氷が少なくて良いのだ。
惰性で、使い古された「コオリスクナメ」なんていう表現でもって、わたしのアイスラテを創造しないでいただきたい。

恥ずかしがらずに、きちんと自分の思いを伝えられたことに、わずかな満足感で満たされたわたしは、黄色いランプ前に移動して、好みの氷の量でもって作り出された「オンリーワンのアイスラテ」の出来上がりを待つことにした。

そして、スマホをいじっていると

「ただ今、氷少なめの、トールサイズ、アイスのスターバックスラテをお作りしています。」

というバリスタである別の女性店員の、途中経過を知らせる呼びかけが耳に入ってきた。
この制作途中を伝える実況中継は、スタバではお馴染みである。

スマホを眺めていたわたしは、その呼びかけにビクリとして顔を上げた。

…コオリスクナメ!!

コノヒト、フツウニ、「コオリスクナメ」イツテルヨ!!

わたしの1/4流れる、異国の血が騒ぎ、図らずも外国人のようなカタコトな日本語が飛び出そうになった。

レジのひとには、あなた方の共通認識である「氷少なめ」よりも、わたしはより少ない氷を希望している旨を、2回もきちんと伝えた。

しかしながら、伝言ゲームが難しいように、わたしの思いが、バリスタの人間に、レジの店員を介してきちんと伝わることは難しいのかもしれない。

わたしとしては「ただ今、かなり氷は少なめの、トールサイズ、アイスのスターバックスラテをお作りしています!」
ぐらい言ってくれるものと信じて疑っていなかったのだ。

途端に、わたしが望んだ氷の量のアイスラテを手中におさめることができるか、先行きに暗雲が立ち込めてきた。

しかし、そこで、「あの!わたし、かなり氷少なめでいいですから!」と、バリスタのひとに伝える気力は、もはや残っていなかった。

そして、

「氷少なめ、トールサイズ、アイスのスターバックスラテお待たせいたしました!」

と、元気いっぱいで、カウンターの上に差し出されたアイスラテの氷の量は…。
やはり、いつもどおりの「コオリスクナメ」なアイスラテだった。

目視した限りでは、氷はざっと20個は入っているだろう。
わたしは2〜3個で良かったのだ。

戦意を喪失したわたしは、元気いっぱいのバリスタに礼を言い、アイスラテを受け取り、肩を落としてとぼとぼと自席に向かった。

今回の落ち度は完全にわたしにある。
はっきりと、「氷は2、3個でいいです。」と伝えれば良かったのだ。

しかしながら、「なんだよ2、3個って難しいな。だったらいらないじゃん。めんどくさい客だぜ。」とあどけなく可愛い店員に思われるのを恐れたというわけだ。

最近、自分と向き合い、自分の思いを汲み取る訓練をしているわたし。
しかしながら、

自分の願いをきちんと叶えること。
相手にどう思われようとも、それをひとにきちんと伝えること。

この二つの狭間でまだまだ右往左往している現実。

でも、少しづつでいいから、自分の思いを素直に、かつ、あっけらかんと伝えられるようになれるよう、トレーニングを続けていこうと、今回の反省を生かし、改めて心に誓いを立てた次第である。

「ま、好みの氷の分量ごときを店員のひとに伝えるのにオドオドしているようじゃまだまだだぜ!」

と、自分に喝を入れ、汗をかいたように濡れているカップで手が濡れることに少々嫌気をさしつつ、惰性の「コオリスクナメ」アイスラテを口に運ぶわたしなのであった。

そして、それをちゃっかりとネタにしてしまう、ちゃっかり者のわたしなのであった。

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[ コオリスクナメ。 ]オモシロ美人のよもやま話2016/07/16 12:37